（写真展）宮城　寛明

「私たちは忘れない、3.11〜放射能に汚染された街はいまも眠っている」
宮城　寛明（写真家）

2011.3.11という大きな贖罪を背負った私たち。
いっこうに無くならない放射能汚染。
むしろ目に見えなくなってきたし聞こえなくなってきた。
見ないのか見えないのか、
聞かないのか聞こえないのか、
言わないのか言えないのか、
それでも心の中で叫びたい人がたくさんいるはずだ。
私たちの世代だけでは片付けることができない。
永い戦いになることはわかっているだろう。
エネルギー政策の不条理な決定は大きな恥を抱えてしまった。
私たちの責任かもしれない。
今、この国にはやらなければならないことが沢山ある。
その一つがエネルギー問題だ。
原発再稼働、新設もありうるというこのことに、
もう一度考えてみることが大事なときにきている。
反対でも賛成でもそれに対する思いは人様々であってもいいが、声に出して言葉でつなげてみよう。
福島を教訓にして皆で考えよう。


＜以下、2014.6.27 facebookでのコメント＞

3年経った今、震災に対する想いは未だに届くのだろうか？
こうして、また一つ、忘れてはいけないという思いある方のイベントを手助けしてみようと思う。
僕自身は、あれ以来（3.11）ずいぶん心の仕組みは変わった気がする。

悔しい想いは相変わらずある、がそれは、決して震災にあった方達への思いだけではなく今、現実としてこの国がどこへ進むのかという不安定な泥舟なのではないかという危惧だ。
今の政権になって心が踊るような嬉しい出来事がこの国の中にあるのだろうか？

この会場は松本市である。
松本市といえば放射能に真剣に取り組む市であると僕は認識している。
新しいニュースでは集団的自衛権の決議や都議会での野次問題やらで忙しく震災などはもうなかったことのように世の中は巡っている。

東北の復興、現地行かれた方はご存知だとは思うが、ただ、空き地が増えただけで何も進んでいないのが現状だ。
そこにはいろいろな思惑もあるのだろうが、それにもまして福島はもっと深刻だ。
帰れるのか帰れないのか、故郷を捨てなければならない方達の思いを代弁できるほど僕自身はたいしたことはしていないけれど、それでも関わって生きていくことを選んだ。

それは、原発問題があるからだ。

岩手、宮城の方達にはひどい言い方に聞こえてしまうかもしれないが、壊され流され、多くの人たちを失った思いは言葉では表せないものがある、が作り直すことは出来る。

一方、福島はどうなんだろう、、
見えない恐怖に怯えながら毎日を生きなければならない現実は、もっともっとつらいものだろう。
家族と離れて生きなければならない現実、ずっと先まで見えない未来、、今の政権はどうしても原発を稼働させることに必死だ。

この不確かな化け物といっても過言ではないものにこだわり続ける。
細長いこの日本列島、原発50基以上、まさにクレージーなことだ。

考えれば、今こうして書いている僕は東京だが北は北海道、南は鹿児島までいつも不安を抱えて生きていくことが未来永劫にと書くと大げさだがあながち嘘ではないだろうと思う。
原発反対などと大声をあげるつもりはないが、3年経った今、今一度、僕自身も考えてみるつもりだ。

みんなのためになどと、偽善めいたことはいいたくない。
今、僕たち年代より、もっと強くこの国の問題を身近に感じてもらいたい世代と一緒になれたらいいと思っている。
これからも、こうしたイベントは数も減るだろうし、規模も小さくなるだろうけれど、点いた灯をかすかでもいいから点し続けたいと思う気持ちだ。
機会があれば、是非、イベントを見に来てほしいと思う。


宮城　寛明（写真家）